子どもの耳をのぞいて耳垢が見えると、「きれいに取らなければ」と心配になるかもしれません。しかし外耳道には耳垢を外へ運ぶ自浄作用があり、家庭で奥まで掃除する必要はありません。耳かきや綿棒を入れすぎると、耳垢を押し込んだり、皮膚や鼓膜を傷つけたりすることがあります。
この記事の結論
家庭では、耳の入り口に出てきた耳垢をやさしく拭う程度にします。奥の耳垢、硬く詰まった耳垢、子どもが嫌がって動く場合は無理に取らず、耳鼻咽喉科へご相談ください。耳垢を取るだけの受診も可能です。
耳垢には耳を守る役割があります
耳垢は、外耳道にある分泌物に古くなった皮膚やほこりなどが混ざってできたものです。外耳道の皮膚を保護し、細菌やカビの繁殖を抑える働きもあります。耳垢が見えること自体は病気ではありません。
乾いた耳垢と湿った耳垢
耳垢には、粉のような乾性耳垢と、粘りのある湿性耳垢があります。体質による違いであり、湿っているから中耳炎、乾いているから健康ということではありません。
| 見え方 | 考え方 |
|---|---|
| 黄色や茶色で乾いている | 乾性耳垢として一般的な見え方 |
| 茶色く粘りがある | 湿性耳垢のことがあり、体質による |
| 耳の穴をふさぐ塊 | 耳垢栓塞の可能性があり、無理に取らない |
| 液体が流れる・悪臭がある | 耳だれや外耳炎などの可能性があり診察が必要 |
家庭で耳掃除をするなら「入り口だけ」
外耳道には、皮膚の動きによって耳垢を少しずつ外へ運ぶ働きがあります。入浴後などに耳の入り口へ出てきた耳垢を、柔らかい布や綿棒でそっと拭う程度で十分です。
- 明るい場所で、見える範囲だけにする
- 耳の穴へ器具を深く入れない
- 子どもが動いているときや嫌がるときは行わない
- 短時間で終え、きれいに取り切ろうとしない
- 痛みや出血があれば中止する
耳掃除の適切な頻度は耳垢の量や耳の形によって異なります。「毎週必ず」「お風呂のたびに」などと決めて、習慣的に奥まで触る必要はありません。
綿棒で奥へ押し込まないでください
綿棒は耳垢を取っているように見えて、実際には奥へ押し込むことがあります。硬い耳かきで皮膚をこすると外耳炎を起こし、子どもが突然動けば鼓膜を傷つける危険もあります。
家庭での耳洗浄は自己判断で行わない
鼓膜に穴がある、鼓膜チューブが入っている、耳の手術歴がある場合などは、液体を耳へ入れることで問題が起こる可能性があります。子どもの耳垢を水や市販薬でふやかす処置は、医師へ確認してから行ってください。
耳垢栓塞とは?聞こえに影響することも
耳垢が外耳道をふさぐ状態を耳垢栓塞といいます。耳の穴が狭い子ども、湿った耳垢が多い方、綿棒で奥へ押し込む習慣がある方などで起こることがあります。
- 呼びかけへの反応が悪い、テレビの音を大きくする
- 耳がふさがった感じを訴える
- 耳を頻繁に触る、気にする
- 健診で耳垢のため鼓膜が見えないと言われた
- 補聴器やイヤホンの使用で耳垢がたまりやすい
聞こえにくさは耳垢だけでなく、滲出性中耳炎や難聴でも起こります。耳垢を除去した後も反応が気になる場合は、鼓膜の診察や年齢に応じた聴力検査を検討します。
耳鼻咽喉科ではどのように耳垢を取る?
耳の中を照明や顕微鏡などで確認し、耳垢の硬さ、位置、鼓膜の状態、子どもの協力度に合わせて処置します。器具で取り除くほか、吸引したり、硬い耳垢を薬で柔らかくしてから後日除去したりする場合があります。
| 診察・処置 | 目的 |
|---|---|
| 耳鏡・顕微鏡で確認 | 耳垢の位置、外耳道の傷、耳だれ、鼓膜の状態を見る |
| 鉗子・耳垢鉤・吸引 | 見える位置の耳垢を安全に除去する |
| 耳垢を柔らかくする薬 | 硬く固まった耳垢を無理なく取りやすくする |
| 聴力・中耳の検査 | 聞こえにくさが残る場合に他の原因を確認する |
一度にすべて取ろうとすると危険な場合は、数回に分けます。子どもを強く押さえて家庭で取るより、安全に耳の中を確認できる環境で行うことが大切です。
このような場合は耳鼻咽喉科へ
- 耳垢が奥にあり、家庭では見えにくい
- 耳の穴をふさぐほどたまっている
- 子どもが痛がる、耳だれや悪臭、出血がある
- 耳掃除の後から聞こえにくい、耳鳴り、めまいがある
- 耳かきや綿棒を入れたまま転倒・衝突した
- 健診や聴力検査の前に耳垢を指摘された
強い痛み、急な聞こえの低下、止まらない出血、鼓膜損傷が疑われる事故では早めに受診してください。小さな電池や鋭い物を耳へ入れた可能性がある場合も、家庭で取らず速やかに相談します。
よくある質問
耳垢を取るだけで受診してもよいですか?
子どもの耳垢が湿っていても病気ではありませんか?
耳垢が多いと中耳炎になりますか?
お風呂で耳に水が入ったら綿棒を使いますか?
耳垢を取れば聞こえは戻りますか?
参考情報
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。耳の状態や必要な処置は診察所見によって異なります。


