耳垢栓塞(じこうせんそく)は、耳垢が外耳道にたまり、耳の通り道をふさいでいる状態です。耳の詰まり、聞こえにくさ、耳鳴り、かゆみなどの原因になります。耳垢と思っていても中耳炎や外耳炎、難聴などが隠れていることがあるため、耳の症状があるときは無理に取らず、耳鼻咽喉科で耳の中を確認することが大切です。
このような症状がある場合はご相談ください
- 耳が詰まった感じや、音がこもる感じがある
- 片耳または両耳が聞こえにくい
- 耳鳴り、かゆみ、違和感がある
- 入浴や水泳のあとに急に聞こえにくくなった
- お子さんが耳をよく触る、呼びかけへの反応が気になる
- 補聴器やイヤホンを使っていて耳垢がたまりやすい
- 耳掃除をしても取れない、奥へ押し込んでしまった
強い耳の痛み、耳だれ、出血、急な聞こえの低下、めまいを伴う場合は、耳垢だけが原因とは限りません。早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
| 主な症状 | 症状の特徴 |
|---|---|
| 聞こえにくさ | 耳垢が音の通り道をふさぐことで、片耳だけ、または両耳の音が小さく感じられます。 |
| 耳の詰まり・異物感 | 耳にふたをされた感じや、水が入っているような感覚が出ることがあります。 |
| 耳鳴り | 耳垢によって音が伝わりにくくなり、キーン、ブーンなどの音を感じることがあります。 |
| かゆみ・痛み | 耳垢の刺激や、併発した外耳炎によってかゆみや痛みが生じることがあります。 |
| 入浴後の急な悪化 | 耳垢が水分を含んで膨らみ、入浴や水泳のあとに急に詰まりや聞こえにくさが強くなることがあります。 |
耳垢栓塞とは
耳垢には、外耳道の皮膚を保護し、乾燥や異物の侵入を防ぐ役割があります。通常は皮膚の動きや、話す・食べるときのあごの動きによって少しずつ耳の外へ移動します。
一方で、耳掃除で奥へ押し込む、外耳道が狭い、耳垢が硬いまたは粘り気がある、補聴器・耳栓・イヤホンを使うといった条件が重なると、耳垢が自然に排出されず詰まることがあります。
耳垢には乾いたタイプと湿ったタイプがあります
耳垢の性質には個人差があり、乾燥した耳垢も湿った耳垢も詰まることがあります。色や硬さだけで病気かどうかを判断するのではなく、症状や外耳道・鼓膜の状態を合わせて確認します。
| 耳垢のタイプ | 特徴 |
|---|---|
| 乾性耳垢 | 粉状や薄いかけら状の耳垢です。自然に出やすい一方、塊になって硬く詰まることがあります。 |
| 湿性耳垢 | 粘り気があり外耳道に付着しやすいため、量が多い場合は自然に排出されにくいことがあります。 |
耳垢がたまりやすくなる主な要因
| たまりやすい方 | 主な理由 |
|---|---|
| 乳幼児 | 外耳道が狭く、耳の中を家庭で確認しにくいため |
| 高齢の方 | 耳垢が乾燥しやすく、自分での耳掃除が難しい場合があるため |
| 補聴器・耳栓・イヤホンを使う方 | 耳垢の自然な排出が妨げられることがあるため |
| 耳掃除を頻繁にする方 | 耳垢を奥へ押し込んだり、外耳道を傷つけたりすることがあるため |
| 外耳道が狭い方 | 耳垢が途中で引っかかり、外へ移動しにくいため |
自宅で無理に取らないでください
綿棒や耳かきを奥まで入れると、耳垢を鼓膜側へ押し込み、外耳道や鼓膜を傷つけることがあります。耳の入り口から自然に出てきた耳垢を、見える範囲でやさしく拭き取る程度にしてください。
耳垢を柔らかくする点耳薬は、鼓膜に穴がある方、鼓膜チューブを入れている方、耳の手術歴がある方、耳だれや強い痛みがある方には適さない場合があります。自己判断で使わず、まず耳の状態を確認してください。
| 避けたいこと | 耳を守るための対応 |
|---|---|
| 綿棒や耳かきを奥まで入れる | 耳の入り口から見える範囲だけを、タオルなどでやさしく拭き取ります。 |
| 痛みを我慢して耳垢を取る | 痛みや出血があれば中止し、耳鼻咽喉科で外耳道と鼓膜を確認します。 |
| 耳だれがある状態で点耳薬を使う | 鼓膜穿孔や感染症の可能性があるため、使用前に診察を受けます。 |
| 耳かきカメラだけで自己判断する | 映像だけでは鼓膜や炎症の状態を判断しにくいため、症状があれば受診します。 |
当院で行う診察と耳垢除去
まず耳鏡や顕微鏡で、耳垢の位置・量・硬さと、外耳道や鼓膜の状態を確認します。耳垢だと思っていた症状が外耳炎、中耳炎、鼓膜の異常、内耳の難聴によるものではないかも確認します。
| 診察・処置 | 内容 |
|---|---|
| 耳の観察 | 耳垢、外耳道、鼓膜の状態を確認します。 |
| 吸引 | 細い吸引管で耳垢を吸引します。耳垢の位置や硬さを見ながら使用します。 |
| 鉗子・耳垢鉤など | 専用の器具で耳垢をつかむ、または少しずつ取り出します。 |
| 耳洗浄 | 耳の状態を確認したうえで、適応がある場合に洗浄を選択します。鼓膜に穴がある場合などは行いません。 |
| 耳垢を柔らかくする処置 | 硬く固まっている場合は、耳垢水で柔らかくしてから別日に除去することがあります。 |
| 追加検査 | 除去後も聞こえにくさが残る場合は、必要に応じて聴力検査を行います。 |
耳垢が硬い場合、鼓膜の近くにある場合、お子さんが動いて安全な処置が難しい場合などは、1回で無理に取り切らず、耳への負担を考えて複数回に分けることがあります。
お子さんの耳垢
お子さんは外耳道が狭く、家庭で奥まで確認することが難しいため、耳掃除だけで耳鼻咽喉科を受診しても問題ありません。発熱や耳の痛みがあるときは、中耳炎の確認のために鼓膜が見える状態にする必要があります。
呼びかけへの反応が弱い、聞き返しが増えた、テレビの音量が大きくなった場合は、耳垢を除去したあとも聞こえの確認が必要なことがあります。
補聴器・イヤホンを使用する方へ
補聴器や耳栓、イヤホンを日常的に使う方は、耳垢が外へ移動しにくくなる場合があります。耳垢によって補聴器の音が弱くなったり、耳せん部分が汚れたりすることもあります。聞こえ方の変化や詰まりを感じたときは、機器の不具合だけと判断せず耳の中も確認しましょう。
耳の中に入れるタイプのイヤホンを使用していて、耳垢がたまりやすい方や外耳道の炎症を起こしやすい方は、耳を覆うタイプのヘッドホンや、骨伝導・軟骨伝導イヤホンへの変更を検討することも方法の一つです。使用する機器にかかわらず、耳の痛み、かゆみ、耳だれなどがある場合は使用を一度控え、耳鼻咽喉科へご相談ください。
日常生活で気をつけること
入浴や水泳のあとに耳が詰まった場合は、耳の入り口の水分をタオルでやさしく拭き取り、綿棒を奥まで入れないでください。耳垢が水分を含んで膨らんでいる場合は、繰り返し触ることでさらに奥へ押し込むことがあります。
すべての方に定期的な耳掃除が必要なわけではありません。一方、耳垢を繰り返し詰まらせる方、外耳道が狭い方、ご自身で耳のケアが難しい方、補聴器を使用する方は、診察時に確認の間隔をご相談ください。
よくあるご質問
耳掃除だけでも受診できますか?
はい。症状がなくても、ご家庭で取りにくい場合や、お子さんの耳の中を確認してほしい場合にご相談いただけます。
耳垢は1回で取れますか?
多くは診察時に除去できますが、硬い耳垢、鼓膜近くの耳垢、量が多い場合などは、耳垢水を使って柔らかくしてから複数回に分けることがあります。
耳垢を取れば聞こえは戻りますか?
耳垢が聞こえにくさの原因であれば改善が期待できます。除去後も聞こえにくい場合は、中耳や内耳の病気を調べるため聴力検査を検討します。
定期的に耳掃除へ通った方がよいですか?
すべての方に定期受診が必要なわけではありません。耳垢を繰り返し詰まらせる方、ご自身での耳掃除が難しい方、補聴器を使う方は、診察時に適切な確認間隔をご相談ください。


