1. メニエール病とは?
メニエール病は、回転性のめまい発作を繰り返し、耳鳴り・難聴・耳の詰まり感などを伴う内耳の病気です。片方の耳から始まることが多く、発作のたびに耳の症状が強くなったり弱くなったりするのが特徴です。
内耳には、聞こえを担当する「蝸牛」と、体のバランスを担当する「前庭・三半規管」があります。メニエール病では、内耳を満たすリンパ液の調節がうまくいかず、内リンパ水腫と呼ばれる状態になることで、めまいや聞こえの症状が起こると考えられています。
突発性難聴や良性発作性頭位めまい症との違い
突発性難聴は、ある日突然聞こえが悪くなる病気で、通常はめまい発作を繰り返すことは多くありません。一方、良性発作性頭位めまい症は、寝返りや起き上がりなど頭の位置を変えた時に短時間のめまいが起こる病気で、通常は難聴や耳鳴りを伴いません。メニエール病は、めまいを繰り返すことと、難聴・耳鳴り・耳閉感などの耳症状が変動することが診断の大切な手がかりになります。
2. メニエール病の症状
メニエール病の症状は、めまいだけではありません。発作時には耳の症状や吐き気なども伴いやすく、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
主な症状
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| めまい | ぐるぐる回るような回転性めまいが典型的です。発作は20分以上続くことが多く、数時間続くこともあります。 |
| 難聴 | 初期には低い音が聞こえにくくなることが多く、発作に合わせて聞こえが良くなったり悪くなったりします。 |
| 耳鳴り | 「ゴー」「ブーン」「キーン」などの耳鳴りが出ることがあります。発作前に強くなる方もいます。 |
| 耳閉感 | 耳に水が入ったような、圧迫されるような詰まり感を自覚します。 |
| 吐き気・嘔吐 | めまいが強い時には吐き気や嘔吐、冷や汗を伴うことがあります。 |
発作のない時期には症状が軽くなることもありますが、発作を繰り返すうちに難聴や耳鳴りが残りやすくなる場合があります。めまいが治まった後も、ふらつきや不安感が続くことがあります。
3. メニエール病の原因
メニエール病の直接の病態は、内耳のリンパ液が過剰にたまる内リンパ水腫と考えられています。ただし、なぜ内リンパ水腫が起こるのかについては、まだ完全には解明されていません。
発症や発作には、ストレス、睡眠不足、疲労、気圧変化、几帳面な性格傾向、脱水、塩分摂取の偏りなどが関係することがあります。メニエール病は「気のせい」ではなく、内耳の機能異常によって起こる病気ですが、生活リズムやストレスの影響を受けやすい病気でもあります。
4. メニエール病の検査
メニエール病は、症状の経過と検査結果を組み合わせて診断します。似た症状を起こす病気が多いため、他のめまい疾患や脳の病気を除外することも重要です。
主な検査
| 検査項目 | 目的と内容 |
|---|---|
| 問診 | めまいの持続時間、繰り返しの有無、難聴・耳鳴り・耳閉感との関係、誘因などを確認します。 |
| 聴力検査 | 低音域を中心とした感音難聴の有無や、聴力の変動を評価します。 |
| 眼振検査 | めまいに伴って生じる目の動きを観察し、内耳性めまいかどうかを判断します。 |
| 平衡機能検査 | 体のバランスを保つ機能に異常がないかを調べます。 |
| 画像検査 | 脳梗塞、聴神経腫瘍など、他の病気が疑われる場合にMRIなどを検討します。 |
| 血液検査 | 貧血、糖尿病、甲状腺疾患など、めまいや全身状態に関係する病気を確認することがあります。 |
5. メニエール病の治療
メニエール病の治療は、発作時のつらい症状を抑える治療と、発作を繰り返しにくくするための治療に分けて考えます。症状の強さ、聴力の状態、発作の頻度、生活背景に合わせて治療方針を決めます。
発作時の治療
めまいが強い時には、まず安静にして転倒を防ぐことが大切です。吐き気が強い場合には制吐薬、めまいを抑える薬、必要に応じて点滴などを行います。発作中は車の運転や高所作業は避けてください。
発作を繰り返しにくくする治療
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 生活指導 | 睡眠不足や過労を避け、ストレス管理、適度な運動、水分摂取、塩分の取りすぎに注意します。 |
| 内服治療 | 利尿薬、内耳循環改善薬、抗めまい薬、吐き気止め、漢方薬などを症状に応じて使用します。 |
| 聴力への治療 | 難聴が強い場合や急に悪化した場合には、ステロイド薬などを検討することがあります。 |
| 専門的治療 | 難治例では鼓室内注入療法や手術治療が検討されることがあります。必要に応じて専門医療機関へ紹介します。 |
メニエール病は、発作を繰り返す時期と落ち着く時期があります。治療では、めまいだけでなく、聴力の変化を定期的に確認することが重要です。
6. メニエール病の生活上の注意点
メニエール病は生活習慣の影響を受けやすいため、薬だけでなく、日常生活の調整も大切です。発作を完全に予測することは難しいですが、誘因を減らすことで症状が安定しやすくなる場合があります。
日常生活で意識したいこと
| 注意点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 睡眠を整える | 睡眠不足や生活リズムの乱れは発作の誘因になることがあります。起床・就寝時間をできるだけ一定にしましょう。 |
| 疲労とストレスをためない | 仕事や家事の負担が続く時は、休息を予定に入れることも治療の一部です。 |
| 水分を適切にとる | 脱水を避け、こまめな水分摂取を心がけます。持病がある方は医師の指示に従ってください。 |
| 塩分を取りすぎない | 過度な塩分摂取は内耳の水分調節に影響する可能性があります。極端な制限ではなく、偏りを減らしましょう。 |
| 発作時は安全を優先する | めまいが強い時は無理に動かず、転倒を防ぐ姿勢で休みます。運転中や外出中に症状が出た場合は安全な場所で休んでください。 |
めまい発作が頻回に起こる、難聴が急に悪化した、ろれつが回らない・手足が動かしにくい・激しい頭痛を伴うなどの場合は、耳の病気以外の可能性もあるため、早めの受診が必要です。
7. まとめ
メニエール病は、めまい発作を繰り返し、難聴・耳鳴り・耳閉感などの耳症状が変動する病気です。原因は完全には解明されていませんが、内耳のリンパ液が過剰にたまる内リンパ水腫が関係していると考えられています。
めまいは日常生活への影響が大きく、不安も強くなりやすい症状です。一方で、症状の経過を丁寧に確認し、聴力検査や眼振検査などで状態を把握しながら治療することで、発作の頻度やつらさを軽減できる場合があります。
当院では時間予約での待ち時間の少ない診療を行なっております。めまい、耳鳴り、聞こえにくさ、耳の詰まり感が続く方は、お気軽に一度ご相談ください。
受診の目安
耳鼻咽喉科への受診をご検討ください
- 耳の痛み・耳だれ・耳の詰まり感が続く
- 聞こえにくさ、耳鳴り、めまいを繰り返す
- 症状が日常生活や睡眠に影響している
早めの医療機関受診が必要なサイン
- 突然、片耳または両耳が聞こえにくくなった
- 強いめまいに、ろれつの回りにくさ・手足のしびれ・激しい頭痛を伴う
- 耳の後ろの強い腫れ、高熱、顔の動かしにくさがある
症状が強い場合や急速に悪化している場合は、診療時間を待たず救急医療機関への相談もご検討ください。
メニエール病についてよくある質問
メニエール病とはどのような病気ですか?
メニエール病は、回転性のめまい発作を繰り返し、耳鳴り・難聴・耳の詰まり感などを伴う内耳の病気です。
メニエール病では、どのような症状がみられますか?
めまいだけでなく、耳鳴り、難聴、耳の詰まり感、吐き気などを伴うことがあります。
メニエール病の検査や治療はどのように行いますか?
症状の経過を確認し、聴力検査、眼振検査、必要に応じて画像検査などを行います。


