プールの後に「耳が痛い」「水が抜けない」と訴えると、耳に入った水が中耳炎を起こしたと思われがちです。しかし、鼓膜に穴がなければ、外から入った水は中耳まで直接入りません。プール後の耳痛では、耳の入口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる外耳炎、水を含んで膨らんだ耳垢、もともとあった中耳炎などを見分ける必要があります。
この記事の結論
耳を触ったり引っ張ったりすると強く痛む、耳だれが出る、痛みが増している場合は外耳炎などが考えられます。綿棒や耳かきで奥を触ると悪化しやすいため、家庭では耳の外側をやさしく拭く程度にしてください。強い痛み、発熱、聞こえにくさ、耳の後ろの腫れがある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診します。
プール後に耳が痛む主な原因
外耳炎
水分で外耳道の皮膚がふやけた状態で、綿棒や指による小さな傷がつくと、細菌や真菌が増えて炎症を起こしやすくなります。プールの消毒薬などの刺激が関係することもあります。耳の入口を押す、耳たぶを引くと痛むことがありますが、これだけで確定診断はできません。
耳垢が水を含んで膨らんだ
耳垢が多い状態で水が入ると、耳がふさがった感じや聞こえにくさが出ることがあります。無理に取ろうとすると耳垢を奥へ押し込み、外耳道を傷つけるため、耳鼻咽喉科で安全に除去します。
急性中耳炎・鼓膜炎
かぜの後などに鼻の奥から中耳へ炎症が広がる急性中耳炎や、鼓膜そのものの炎症でも痛みます。たまたまプール後に発症し、「水が入ったから」と見えることがあります。発熱、鼻水、夜間の強い耳痛を伴うことがあります。
鼓膜チューブや鼓膜穿孔がある場合
鼓膜換気チューブを入れている、鼓膜に穴がある、耳の手術歴がある場合は、水泳時の注意が個別に異なります。主治医の指示に従ってください。
外耳炎と中耳炎はどう違う?
| 項目 | 外耳炎 | 急性中耳炎 |
|---|---|---|
| 炎症の場所 | 耳の入口から鼓膜までの外耳道 | 鼓膜の奥にある中耳 |
| きっかけ | 水泳、耳かき、イヤホン、皮膚炎など | かぜや鼻炎に続いて起こることが多い |
| 痛みの特徴 | 耳の入口に触れると痛みやすい | 耳の奥が痛み、夜に強くなることがある |
| 耳だれ | 外耳道の腫れや炎症で出ることがある | 鼓膜が破れたときに出ることがある |
症状だけでは区別できない場合があります。耳鏡や顕微鏡で外耳道と鼓膜を観察することが診断に重要です。
家庭でできる対処・避けたい対処
水が入った直後で痛みがなければ、耳を下に傾け、外側を清潔なタオルで拭きます。耳の奥へ物や液体を入れる必要はありません。
- 綿棒、耳かき、指を耳の奥へ入れない
- ドライヤーの熱風や強風を近距離から当てない
- アルコール、酢、市販の点耳液を自己判断で入れない
- 以前処方された点耳薬を残薬として使わない
- 痛みや耳だれがある間は耳をぬらさない
鼓膜に穴がある場合、不適切な液体や薬が中耳へ入るおそれがあります。家庭用の「水抜き」方法を試す前に診察を受けてください。
耳鼻咽喉科を受診する目安
診療時間内に早めに受診
- 数時間たっても痛みや耳閉感が改善しない
- 耳を触ると痛がる、夜眠れない
- 耳だれ、出血、悪臭がある
- 発熱、鼻水、咳を伴う
- 聞こえにくい、呼びかけへの反応が悪い
- 鼓膜チューブ、鼓膜穿孔、耳の手術歴がある
至急相談したい症状
- 耳の後ろが赤く腫れ、耳が前方へ押し出されている
- めまい、嘔吐、顔の動かしにくさがある
- 急に強く聞こえにくくなった
- ぐったりして反応が悪い
耳鼻咽喉科で行う検査と治療
耳鏡や顕微鏡で、耳垢、外耳道の傷・腫れ・分泌物、鼓膜の赤みや膨らみ、鼓膜穿孔の有無を確認します。必要に応じて耳垢や分泌物を除去し、聴力検査や鼓膜の動きを調べる検査を行います。
外耳炎では耳を清潔にしたうえで、炎症の程度と原因に合わせた点耳薬や塗り薬、鎮痛薬などを用います。急性中耳炎は年齢、重症度、鼓膜所見から経過観察や薬物治療を選びます。すべての耳痛に抗菌薬が必要なわけではありません。
プールはいつから再開できる?
痛み、耳だれ、外耳道の腫れがある間は水泳を控えます。再開時期は病気の種類と治り具合、鼓膜の状態で異なります。鼓膜チューブがあるお子さんに耳栓が必要かどうかも、チューブの種類、潜水の深さ、プール・海などの環境で判断が変わるため、主治医へ確認してください。
健康な耳に対して一律に耳栓が必要とは限りません。耳栓が外耳道をこすって炎症を起こす場合もあるため、サイズと使い方に注意します。


