子どもの鼻水や鼻づまりが続くと、「アレルギー検査は何歳からできますか」「注射の採血が苦手でも調べられますか」と心配される保護者の方は少なくありません。検査を受けるかどうかは年齢だけで決めず、症状、調べる目的、結果が治療や生活対策に役立つかを診察で考えます。当院では、指先採血と通常採血を含む複数の検査から選択できます。

この記事の結論
血液によるアレルギー検査に、すべての検査へ共通する一律の開始年齢があるわけではありません。ただし、0~4歳のアレルギー性鼻炎の有病率は年長児より低く、かぜなど感染性鼻炎との区別も必要です。さらに5歳未満では舌下免疫療法の安全性が確立していないため、当院では鼻症状だけを理由に積極的な採血は勧めず、まず診察と鼻汁好酸球検査を行っています。
子どものアレルギー検査は何歳からできる?
アレルゲン特異的IgE抗体を調べる血液検査は、検査そのものに全国一律の最低年齢が設定されているわけではありません。しかし、「検査できる年齢」と「今、検査を行う医学的な意味が大きい年齢」は同じではありません。鼻水があるだけで全員に多項目検査を行うのではなく、症状の期間や季節性、診察所見、今後の治療が変わるかを考えて判断します。
5歳未満では、まず鼻水の原因を診察します
「小児アレルギー性鼻炎診療の手引き」に掲載された、耳鼻咽喉科医とその家族を対象とする2019年の全国疫学調査では、0~4歳の有病率は通年性アレルギー性鼻炎5.1%、スギ花粉症3.8%でした。2008年調査ではそれぞれ4.0%、1.1%であり、増加傾向には注意が必要ですが、5~9歳の通年性アレルギー性鼻炎20.9%、スギ花粉症30.1%と比べると、5歳未満ではまだ低い割合です。
乳幼児の鼻水は、アレルギー性鼻炎より、かぜなどの感染性鼻炎によることが多く、両者が重なる場合もあります。透明な鼻水だけでアレルギーと決めず、発熱、咳、症状の続く期間、季節性、鼻や目のかゆみ、鼻粘膜の所見などを確認します。
また、スギ・ダニの舌下免疫療法は5歳未満で安全性が確立していません。採血で原因抗原が分かっても、すぐに舌下免疫療法を開始できず、対症療法を中心とした治療方針が変わらないことがあります。そのため当院では、鼻症状だけで緊急性がなく、検査結果が治療方針を変えにくい5歳未満のお子さんに、痛みを伴う血液検査を積極的には勧めていません。症状が強い、喘息などを合併している、明らかな季節性や特定の環境との関連があるなど、検査の利益が大きい場合は個別に血液検査を検討します。
当院では鼻汁好酸球検査を先に行います
当院では、アレルギー性鼻炎が疑われる5歳未満のお子さんには、まず吸引した鼻水を用いて、アレルギー性炎症に関連する好酸球が含まれているかを確認する鼻汁好酸球検査を行っています。腕や指先から採血する検査ではなく、診察時に採取した鼻水を院内で調べます。
鼻汁好酸球が認められればアレルギー性炎症を考える手掛かりになりますが、陽性だけで原因抗原までは分からず、陰性でもアレルギー性鼻炎を完全には否定できません。問診、鼻粘膜の腫れや鼻水の性状、季節性を合わせて判断し、必要性が高い場合に血液検査へ進みます。
「念のため全部調べたい」だけでは検査を急がないことも
血液検査は、将来起こるすべてのアレルギーを予測する健康診断ではありません。症状がなく、検査後の生活や治療も変わらない場合は、多数の項目を調べても判断に迷う結果が増えることがあります。何が心配なのか、検査結果を何に役立てたいのかを整理すると、必要な項目を選びやすくなります。
食物アレルギーの相談は目的が異なります
食べ物を口にした後に、じんましん、咳、嘔吐、息苦しさなどが出た場合は、鼻炎の原因を調べる検査とは別の評価が必要です。当院では食物アレルギーの専門的な指導や食物経口負荷試験を行っていないため、症状のあるお子さんはアレルギーを専門とする小児科などへご相談ください。呼吸困難や意識がぼんやりする症状がある場合は緊急受診が必要です。
アレルギー検査を考える子どもの症状
子どもは「鼻がつまる」「目がかゆい」とうまく言葉にできないことがあります。保護者から見ると、鼻をこする、口を開けている、睡眠中にいびきをかく、朝にくしゃみを繰り返すといった行動が手がかりになります。
- 透明でさらさらした鼻水、くしゃみ、鼻づまりが繰り返す
- 春や秋など、毎年ほぼ同じ時期に悪化する
- 掃除、布団の上げ下ろし、寝室で症状が強くなる
- ペットと接した後に鼻・目の症状が出る
- 鼻をこする、鼻の下に横じわがある、目の周りをかく
- 口呼吸、いびき、寝苦しさ、日中の集中しづらさがある
- 薬を使っても症状が続き、原因に応じた対策を考えたい
同じ症状でも原因は一つとは限りません
鼻水や鼻づまりは、かぜ、副鼻腔炎、アデノイド肥大、鼻の異物、血管運動性鼻炎などでも起こります。検査だけを先に行うのではなく、いつから続いているか、鼻水の色、発熱、顔の痛み、片側だけの症状がないかを確認し、鼻の中を診察することが重要です。
特に、息が止まるようないびき、苦しそうな呼吸、食事が取れない、ぐったりするなどの症状がある場合は、アレルギー検査の予約を待たず早めに医療機関へご相談ください。
血液のアレルギー検査で分かること・分からないこと
血液検査では、スギ、ダニ、動物、食物など特定のアレルゲンに対する「特異的IgE抗体」があるかを調べます。抗体が検出されることを「感作」と呼びます。感作されていることは、その物質に免疫が反応する準備があることを示しますが、実際に症状が起きていることと完全に同じではありません。
陽性でも症状がない場合があります
たとえばスギが陽性でも春に鼻・目の症状がない、卵が陽性でも普段から問題なく食べられるということがあります。反対に、検査した項目が陰性でも、調べていない別のアレルゲン、アレルギー以外の病気、検査では捉えにくい反応が関係することがあります。結果用紙の「陽性・陰性」だけで診断は完結しません。
クラスが高いほど症状が必ず重いわけではありません
多くの特異的IgE検査では、抗体量をクラス0〜6などで表示します。一般に数値やクラスが高いほど感作が強い傾向がありますが、症状の強さとは一致しないことがあります。クラス2の方が強い鼻炎で、クラス5でもほとんど症状がないこともあり得ます。症状が出た季節・場所と照合して解釈します。
当院で行う4種類のアレルギー検査
当院では、調べたい項目、採血方法、結果が必要な時期に応じて、次の検査を選択します。検査項目、結果日数、費用は変更される場合があるため、公開時および受診時には院内ページの最新情報をご確認ください。
| 検査 | 採血 | 調べる内容 | 結果の目安 |
|---|---|---|---|
| 単項目測定法 (CAP-RAST法) |
通常採血 | 疑う項目を1〜13項目選択+総IgE | 5〜7日 |
| イムノキャップ ラピッド アレルゲン8 |
指先採血 | スギ・ダニなど8項目 | 約20分 |
| Viewアレルギー39 | 通常採血 | 頻度の高い39項目+総IgE | 5〜7日 |
| SiLIS-100 (45+1) |
指先採血 | 45項目+総IgE | 当院では外注で2〜3日 |
1. 単項目測定法:疑う原因を選んで調べる
通常採血で、問診から疑われるアレルゲンを一つずつ選択する方法です。当院では1〜13項目と総IgEを調べられます。「春だけ症状があるのでスギ・ヒノキを調べたい」「猫に触れたときだけ症状がある」など、原因の見当がついている場合に適しています。必要な項目へ絞れる一方、選ばなかったアレルゲンは分かりません。
2. イムノキャップ ラピッド アレルゲン8:指先採血で当日判定
指先から採血し、スギ、ヤケヒョウヒダニ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ、ネコ皮屑、イヌ皮屑の8項目を調べる検査です。結果は陰性、陽性、強陽性の3段階で判定し、当院では約20分で結果を確認できます。スギ・ダニの舌下免疫療法の適応を早く確認したい方や、通常採血が苦手なお子さんに選択肢となります。
8項目以外の原因は調べられず、総IgEも測定しません。8項目がすべて陰性でも、別のアレルゲンやアレルギー性鼻炎そのものを完全に否定できる検査ではありません。
3. Viewアレルギー39:通常採血で幅広く調べる
吸入系と食物系を含む、頻度の高い39項目をまとめて調べる検査です。通常採血が可能で、症状はあるものの原因の見当がつかない場合や、複数のアレルゲンを一度に確認したい場合に検討します。総IgEも同時に確認できます。
多項目を一度に測る検査は、症状と関係のない陽性結果も見つかりやすくなります。食べて問題のない食品が陽性でも、検査結果だけを理由に食事を制限しないことが重要です。
4. SiLIS-100:指先採血で45項目+総IgE
指先採血で、吸入系と食物系の特異的IgE 45項目に加えて総IgEを調べる検査です。当院では5〜18歳のお子さんと、通常採血が難しい大人の方を対象に実施しています。院内測定ではなく外注検査のため、結果は2〜3日が目安です。
指先採血で幅広く調べられる利点がありますが、調べられる項目はあらかじめ決まっています。また検査機器自体の測定時間と、当院で結果をお伝えできる日数は同じではありません。受診当日に45項目の結果が出る検査ではありませんのでご注意ください。
目的別|どのアレルギー検査を選べばよい?
検査項目数が多ければ多いほど、すべての方に優れているわけではありません。疑う原因がはっきりしている場合は項目を選ぶ検査が役立ち、原因が分からない場合は多項目検査が手がかりになります。採血方法と結果までの時間も含めて選びます。
| 希望・状況 | 検討する検査 | 選ぶ際の注意 |
|---|---|---|
| スギ・ダニの舌下免疫療法を相談したい | ラピッド8、または単項目測定 | 陽性結果と実際の鼻症状が一致するか診察が必要 |
| 原因の見当がついている | 単項目測定 | 調べる項目を問診から選択 |
| 原因が分からず幅広く調べたい | View39、SiLIS45+1 | 症状と無関係の陽性も含まれ得る |
| 通常採血への恐怖が強い | ラピッド8、SiLIS45+1 | 指先にも穿刺は必要で、無痛を保証するものではない |
| 当日に結果を知りたい | ラピッド8 | 対象は決められた8項目のみ |
舌下免疫療法を希望する場合
スギまたはダニの舌下免疫療法を始めるには、検査によって原因アレルゲンを確認するだけでなく、それに伴うアレルギー性鼻炎の症状があることが必要です。ラピッド8で当日にスギ・ダニを確認できる場合がありますが、ぜんそく、持病、服薬、開始時期、薬剤供給も確認するため、検査陽性なら必ず当日開始できるわけではありません。
鼻づまりが強い場合は検査だけで終わらせない
検査でダニやスギが陽性でも、鼻づまりの全てをアレルギーだけで説明できるとは限りません。副鼻腔炎、アデノイド肥大、鼻中隔の形、点鼻薬の使い過ぎなどが関係する場合があります。耳鼻咽喉科では鼻の中を確認し、必要に応じて別の検査や治療も組み合わせます。
食物項目が陽性だったときの注意
Viewアレルギー39やSiLIS45+1には食物項目が含まれます。しかし、血液検査が陽性というだけでは食物アレルギーの確定診断にはなりません。現在、症状なく食べている食品が陽性になった場合、検査結果だけを理由に自己判断で除去すると、栄養の偏りや食生活への負担につながります。
受診時に伝えたいこと
- 何を、どのくらい食べたか
- 食べてから何分・何時間後に症状が出たか
- じんましん、咳、嘔吐、腹痛など、どの症状が出たか
- 同じ食品を以前は問題なく食べていたか
- 運動、入浴、薬の服用などが重なっていなかったか
食物アレルギーが疑われる場合は、自己流で少量を食べて試すことも危険です。専門的な評価ができる小児科・アレルギー科へご相談ください。また、民間で行われる食物特異的IgG検査は、食物アレルギーの診断目的には推奨されていません。
当院でのアレルギー検査の流れ
1. 症状と生活環境を確認
鼻水、くしゃみ、鼻づまりが始まった時期、季節、寝室、掃除、ペット、屋外活動との関連を伺います。過去の検査結果や家族のアレルギー歴も参考にします。
2. 耳鼻咽喉科で鼻の中を診察
鼻粘膜の腫れ、鼻水の性状、左右差などを確認します。症状によっては内視鏡などで副鼻腔炎、アデノイド、異物など別の原因を評価することがあります。検査をする前に、血液検査が治療方針に役立つ状態か判断します。
3. 目的に合う検査を選ぶ
当日8項目を知りたいのか、原因を絞って調べたいのか、幅広く調べたいのか、通常採血が可能かを相談します。お子さんの年齢と協力度、安全に採血できるかも考慮します。
4. 指先または腕から採血
指先採血では、針が見えにくいスタンプのような器具で指を穿刺します。通常採血では腕の静脈から採血します。どちらも採血であるため痛みが全くないわけではありませんが、指先採血は通常採血が難しいお子さんの選択肢になります。
5. 結果を症状と照合して治療へ
当日または後日、結果を説明します。原因に応じて、寝具や掃除などの環境整備、抗アレルギー薬、点鼻薬、花粉回避を提案します。スギ・ダニが実際の鼻炎原因と考えられ、条件を満たす場合は舌下免疫療法も検討できます。
受診前に準備すること・検査費用の考え方
症状メモが検査項目選びに役立ちます
「いつも鼻水が出る」だけでなく、何月に多いか、朝と夜のどちらが強いか、掃除・布団・公園・ペットで変化するかをメモしておくと、候補となるアレルゲンを絞りやすくなります。写真やスマートフォンのメモでも構いません。
- 症状が始まった時期と続いた日数
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみ、咳の有無
- 家、学校、屋外など症状が強い場所
- 現在使用している内服薬・点鼻薬
- 過去の検査結果、お薬手帳、紹介状
- 食後に症状があった場合は食品、量、発症までの時間
薬を自己判断で中止しない
血液を用いる特異的IgE検査は、一般に抗ヒスタミン薬の影響を受けにくい検査ですが、使用中の薬や治療内容によって判断が必要です。「検査のため」と自己判断で薬を中止せず、お薬手帳を持参して医師に確認してください。
保険適用と子どもの医療費助成
症状があり、医師が診療上必要と判断して行うアレルギー検査は保険診療となる場合があります。自己負担額は検査方法、項目数、診察内容、保険負担割合で変わります。お子さんは自治体の医療費助成の対象になる場合がありますが、対象条件や窓口負担はお住まいの地域によって異なります。
検査だけを希望する健康診断的な目的や、医学的必要性が認められない場合の取り扱いは異なることがあります。具体的な費用は診察時と院内ページの最新情報でご確認ください。
よくある質問
アレルギー検査は何歳からできますか?
指先採血は痛くないですか?
どの検査が一番正確ですか?
アレルギー薬を飲んでいても検査できますか?
食事を抜いて受診する必要はありますか?
検査が陰性ならアレルギーではありませんか?
食物が陽性なら食べさせない方がよいですか?
検査結果はその日に分かりますか?
検査が陽性なら、その日に舌下免疫療法を始められますか?
参考情報
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会ほか「小児アレルギー性鼻炎診療の手引き」
- PMDA「ミティキュアダニ舌下錠 電子添文」
- アレルギーポータル(日本アレルギー学会・厚生労働省)「アレルギー検査について」
- アレルギーポータル(日本アレルギー学会・厚生労働省)「食物アレルギー」
- PMDA「イムノキャップ ラピッド アレルゲン8 電子添文」
- タカノ株式会社「アレルギー検査装置 SiLIS-100」
- 山本貴和子ほか「Viewアレルギー39とSiLISアレルギー45+1における基礎性能の評価」
- Thermo Fisher Scientific「アレルギー製品情報」
- 当院「アレルギー検査」
- 当院「舌下免疫療法(スギ・ダニ)」
※検査名、対象、項目、結果日数、費用は変更される場合があります。公開時には電子添文と院内ページの最新情報をご確認ください。


