起き上がると天井が回る、寝返りで数秒ふらつく、耳鳴りとともにめまいを繰り返す――めまいの原因は内耳、脳、循環器、薬剤などさまざまです。耳鼻咽喉科では、めまいの経過と眼振、聴力、平衡機能を組み合わせ、耳から起こるめまいを調べます。一方、激しい頭痛、ろれつの回りにくさ、麻痺などを伴う場合は救急対応が必要です。症状のタイプだけで受診先を決めつけず、危険なサインを先に確認しましょう。
この記事の結論
頭を動かしたときに数秒から1分ほど回り、難聴や耳鳴りがない場合は良性発作性頭位めまい症が代表的です。難聴・耳鳴り・耳の詰まりを伴うめまいは内耳疾患を考え、耳鼻咽喉科で聴力検査を行います。突然の激しい頭痛、意識障害、ろれつ障害、手足の麻痺、二重に見える、支えなしに歩けない場合は、脳卒中などを考えて救急要請を検討してください。
「ぐるぐる」「ふわふわ」だけでは原因は決まらない
めまいは、周囲や自分が回る回転性めまい、雲の上を歩くような浮動性めまい、目の前が暗くなる失神前状態などに分けて表現されます。ただし、同じ病気でも感じ方は変わり、回転性だから必ず耳、ふわふわするから必ず脳という区別はできません。
診断で特に役立つのは、発症の仕方、1回の持続時間、頭位との関係、難聴・耳鳴りの有無、神経症状です。
| 確認すること | 具体例 |
|---|---|
| 始まり方 | 突然か徐々か、初めてか反復しているか |
| 持続時間 | 数秒、数分、数時間、1日以上のどれか |
| きっかけ | 寝返り、起き上がり、立ち上がり、安静中 |
| 耳の症状 | 難聴、耳鳴り、耳閉感、耳痛 |
| 全身症状 | 頭痛、しびれ、複視、動悸、発熱、嘔吐 |
最も多い耳のめまい「良性発作性頭位めまい症」
良性発作性頭位めまい症は、内耳の耳石が本来の場所から外れて半規管へ入り、頭の動きに伴ってめまいを起こす病気です。寝返り、起床、上を向く、靴ひもを結ぶなど、特定の頭位で誘発されるのが特徴です。強く回る感覚があっても、多くは数秒から数十秒で弱まります。
- 寝返りを打つと回る
- 朝、起き上がると強く感じる
- 頭を動かさなければ比較的落ち着く
- 通常は新たな難聴や耳鳴りを伴わない
- 同じ動きで繰り返し誘発される
診察では頭と体の位置を変え、特徴的な眼振が出るか確認します。患側や半規管を推定できれば、耳石置換法で耳石を戻す治療を行います。ただし、頸椎・腰椎疾患や血管疾患がある方が動画を見て自己流で強く頭を動かすと危険なことがあります。まず診断を受けてください。
難聴や耳鳴りを伴うめまいは耳鼻科へ
メニエール病
難聴、耳鳴り、耳の詰まりを伴うめまい発作を反復します。発作がない時期も聴力の変動を確認するため、聴力検査と経過記録が重要です。似た症状を起こす突発性難聴などを除外します。
前庭神経炎
強い回転性めまいが突然始まり、数日続くことがあります。一般に新たな難聴は伴いません。急性期の吐き気が強く歩行が難しい場合は、脳の病気との鑑別を含めた評価が必要です。
突発性難聴・急性感音難聴
突然の聞こえにくさにめまいを伴うことがあります。めまいが主症状に感じられても、片耳ずつ測ると難聴が見つかる場合があります。発症早期の診断と治療が大切なため、急な耳症状は早めにご相談ください。
その他
中耳炎、薬剤、片頭痛、加齢による平衡機能の低下などでもふらつきます。動悸や立ちくらみが中心なら循環器・内科疾患、しびれや麻痺があれば脳神経疾患も考えます。
この症状は救急受診を検討してください
脳幹・小脳の脳梗塞や脳出血でも、最初にめまいが目立つことがあります。次の症状を伴う場合は、自分で運転せず119番や救急相談を利用してください。
- 突然の激しい頭痛、今までにない頭痛
- ろれつが回らない、言葉が理解しにくい
- 顔や片側の手足がしびれる、力が入らない
- 物が二重に見える、視野がおかしい
- 意識がぼんやりする、けいれんする
- 支えなしでは立てない、まっすぐ歩けない
- 胸痛、強い動悸、失神を伴う
- 突然の難聴を伴う
耳鼻咽喉科で行う検査
問診と神経学的な確認
発症時刻、持続時間、誘因、服薬歴、頭痛やしびれを確認します。眼球運動、顔や手足の動き、立位・歩行も診察し、脳疾患が疑われる場合は救急診療へつなぎます。
眼振検査・頭位検査
特殊な眼鏡やカメラで眼の動きを観察します。頭位による眼振の方向と持続時間は、良性発作性頭位めまい症の原因となる半規管の部位や、他のめまいとの鑑別に役立ちます。
聴力検査
本人が難聴を自覚していなくても左右差が隠れていることがあります。純音聴力検査でメニエール病、突発性難聴などの可能性を確認します。
平衡機能・画像検査
必要に応じて重心動揺、温度刺激などの検査を検討します。脳や聴神経の病気が疑われるときはMRI・CTなどが必要です。すべての方に同じ検査を行うわけではありません。
治療と自宅で気をつけること
治療は原因で異なります。良性発作性頭位めまい症では耳石置換法、メニエール病では生活指導や薬物療法、前庭神経炎では急性期の症状を抑える治療と回復期の前庭リハビリを組み合わせます。めまい止めを長期間続けることが回復に適さない場合もあるため、処方どおり使用します。
- 強いめまいの間は運転、自転車、高所作業を避ける
- 転倒しないよう壁や手すりを使い、入浴は家族へ伝える
- 嘔吐が続くときは脱水を我慢しない
- 薬を自己判断で追加・中止しない
- 症状が変化し神経症状が出たら救急受診する
動けるようになった後に過度な安静を続けると、平衡機能の代償が進みにくいことがあります。開始時期と方法は診断や転倒リスクに合わせて相談しましょう。
受診前に記録すると診断に役立つこと
発作中は説明が難しいため、可能ならスマートフォンのメモに残してください。症状が始まった日時、何をしていたか、何秒・何時間続いたか、頭の向き、耳の症状、頭痛、服薬、血圧、過去の発作を記録します。眼の動きを安全に撮影できる場合は診察の参考になりますが、無理に立ったり歩いたりしないでください。
よくある質問
めまいは耳鼻科と脳神経外科のどちらですか?
良性発作性頭位めまい症は自然に治りますか?
めまいが治まってから受診しても検査できますか?
市販の酔い止めを飲んでよいですか?
参考情報
※めまいの緊急性は、年齢・既往歴・随伴症状を含めて判断します。


