風邪の途中から鼻水が黄色や緑色になると、「細菌感染だから抗菌薬が必要」「蓄膿症になった」と心配になる方が少なくありません。しかし、ウイルス性の風邪でも免疫細胞などが混ざって鼻水に色がつくことがあり、色だけでは細菌性副鼻腔炎と判断できません。症状が何日続くか、いったん改善してから悪化したか、顔面痛や発熱がどの程度かを合わせて評価します。
この記事の結論
黄色い鼻水だけで抗菌薬が必要とは限りません。風邪に伴う軽い急性鼻副鼻腔炎では自然に改善することが多く、2024年版の診療ガイドラインでは軽症例を抗菌薬なしで5日間経過観察する考え方が示されています。一方、高熱、強い顔面痛、症状の再悪化、長引く鼻汁・咳がある場合は耳鼻咽喉科へ。まぶたの腫れ、見え方の異常、激しい頭痛、意識の変化は救急受診が必要です。
黄色・緑の鼻水=細菌感染とは限りません
風邪の初期には透明でさらさらした鼻水が多く、数日すると粘りや色が出ることがあります。これは鼻粘膜で働いた白血球、粘液、はがれた細胞などが混ざるためです。ウイルス感染でも黄色や緑色になるため、鼻水の色だけを根拠に抗菌薬を使うことはできません。
反対に、透明な鼻水でも顔面痛や強い発熱があれば診察が必要です。鼻水の量、片側性、におい、期間、いったん軽快した後の再悪化を確認します。片側だけの悪臭を伴う鼻水では、歯性上顎洞炎、鼻内異物、腫瘍など別の原因も考えます。
風邪と急性副鼻腔炎の違い
鼻かぜの多くはウイルス性で、鼻や副鼻腔の粘膜が一時的に腫れます。その一部で細菌感染が加わり、膿性鼻汁、後鼻漏、顔面痛・圧迫感などが強くなると急性細菌性鼻副鼻腔炎を考えます。
| 見分けるポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| 症状の期間 | 数日で改善傾向か、改善せず長引くか |
| 経過 | いったん良くなった後に再び悪化したか |
| 痛み | 頬、目の周囲、額、上の歯に痛み・圧迫感があるか |
| 発熱 | 高熱が続くか、全身状態が悪いか |
| 鼻・のど | 膿性鼻汁、後鼻漏、嗅覚低下、咳があるか |
前かがみで顔が痛むことは副鼻腔炎の手掛かりですが、それだけで確定はできません。片頭痛や歯の病気でも顔面痛が起こるため、鼻内所見と合わせて判断します。
耳鼻咽喉科を受診する目安
- 鼻水、鼻づまり、咳が改善せず長引く
- いったん良くなった後、再び発熱・鼻汁・痛みが悪化した
- 頬、目の周囲、額、上の歯が強く痛む
- 片側だけ悪臭のある鼻水や鼻出血が続く
- 嗅覚低下、後鼻漏で食事や睡眠に支障がある
- 子どもで咳や鼻づまりが続き、中耳炎を繰り返す
乳幼児、高齢者、免疫を抑える治療中の方、基礎疾患がある方は、症状が軽く見えても早めに相談してください。受診時には発症日、熱の推移、使用した市販薬、薬のアレルギーを伝えます。
まぶたの腫れや視力低下は救急受診を
副鼻腔は眼や頭蓋内に近く、まれに感染が眼窩や脳へ広がることがあります。次の症状があれば時間外でも救急診療を検討してください。
- まぶたや目の周囲が赤く大きく腫れる
- 眼球を動かすと痛い、二重に見える、見えにくい
- 激しい頭痛、首の硬さ、繰り返す嘔吐
- 意識がぼんやりする、けいれんする
- 急速に悪化する顔面の腫れ
- 水分が取れず、尿が少ない
とくに子どもは症状をうまく説明できません。元気がない、目を開けにくい、反応がおかしいと感じたら早めに医療機関へ連絡してください。
耳鼻咽喉科で行う検査
鼻内の診察・鼻咽腔内視鏡
鼻粘膜の腫れ、膿性鼻汁がどこから出ているか、鼻茸や異物がないかを確認します。細い内視鏡を用いることで、前から見ただけでは分かりにくい鼻の奥まで観察できます。
画像検査
合併症、片側性の病変、歯性の可能性、慢性化を疑う場合などにCTを検討します。典型的な軽症の初回感染で、全員に画像検査が必要なわけではありません。
細菌検査・その他
重症例、治療に反応しない例、免疫低下がある例では培養検査を行うことがあります。アレルギー性鼻炎が背景にある場合は、症状の季節性や検査結果も合わせて治療します。
治療の基本と抗菌薬の考え方
日本鼻科学会の「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2024年版」では、ウイルス性上気道炎と細菌性鼻副鼻腔炎を区別し、成人・小児の軽症例では抗菌薬を使わず5日間経過をみる考え方が示されています。中等症・重症では診察所見や既往歴を踏まえ、アモキシシリンなどの抗菌薬を選択します。
抗菌薬はかぜのウイルスには効きません。不必要な使用は下痢や発疹などの副作用に加え、薬剤耐性菌を増やす原因になります。家族の薬、以前の残薬、海外で購入した薬を自己判断で飲まないでください。処方された場合は用法・日数を守り、改善しない、発疹が出たなどの変化を連絡します。
治療には痛みや発熱を和らげる薬、鼻汁を排出しやすくする処置、状態に応じた点鼻薬などを組み合わせます。慢性副鼻腔炎や歯性上顎洞炎では、急性副鼻腔炎と同じ治療だけでは改善しないことがあります。
子どもの副鼻腔炎で気づきたい症状
子どもは副鼻腔が発達途中で、かぜを繰り返しながら鼻副鼻腔炎を起こします。鼻水をうまくかめず、後鼻漏による夜間・早朝の咳、口呼吸、食欲低下、機嫌の悪さが目立つ場合があります。耳管が短いため、急性中耳炎を併発することもあります。
咳だけを見て気管支炎と決めつけず、鼻水がのどへ流れていないか確認します。一方、息苦しさやゼーゼーがあれば呼吸器疾患も考えるため、小児科との連携が必要です。鼻づまりで眠れない、発熱と耳痛がある、症状が長引く場合は受診してください。
家庭でできる鼻ケア
- 水分をとり、室内の乾燥を避ける
- 鼻は片側ずつ、強くかみすぎない
- 乳幼児は必要に応じて鼻吸引を行う
- 生理食塩水による鼻洗浄は清潔な器具と適切な水を使う
- 喫煙・受動喫煙を避ける
- 市販の血管収縮性点鼻薬を連用しない
熱い蒸気を直接吸う方法は、やけどの危険があるため避けます。鼻洗浄が耳に響く、痛む場合は中止し、方法を相談してください。
よくある質問
黄色い鼻水が出たら何日で受診すべきですか?
副鼻腔炎は人にうつりますか?
鼻をすすってもよいですか?
市販薬で治らないときは?
参考情報
※症状の強さや基礎疾患により、検査・治療は異なります。


