1. いびきと睡眠時無呼吸症候群とは?

1.1 いびきの原因

いびきは、多くの人が経験する一般的な症状ですが、その原因はさまざまです。いびきが起こるメカニズムを理解することは、いびきの予防や治療に役立ちます。まず、いびきがどのようにして発生するのかを見ていきましょう。

いびきが発生する仕組み

いびきは、呼吸時に気道が狭くなることで、空気が通る際に振動を引き起こし、その振動音がいびきとして聞こえる現象です。具体的には、次のような理由が考えられます。

1. 舌やのどの筋肉の緩み

睡眠中に筋肉がリラックスするため、舌や喉の筋肉が気道を塞ぐことがあります。この部分が狭くなることで、空気の流れが乱れ、いびきが発生します。

2. 鼻の通りの悪さ

鼻づまりやアレルギーなどで鼻腔が狭くなると、口呼吸が増えます。口呼吸をすることで、のどの奥が振動し、いびきが出やすくなります。

3. 喉の構造や形態

個人の喉の構造や形状によってもいびきが発生しやすくなります。例えば、扁桃腺が大きい場合や、喉の奥に余分な脂肪がついている場合には、気道が狭くなりやすいです。

4. アルコールや薬の影響

アルコールや睡眠薬など、筋肉をリラックスさせる薬を服用すると、喉の筋肉も過度に弛緩し、気道が狭くなることがあります。これにより、いびきが起こりやすくなります。

いびきの原因となる生活習慣

いびきの原因は、生活習慣にも大きく関係しています。以下の習慣がいびきを悪化させることがあります。

肥満

体重が増えると、首や喉に脂肪がつき、気道が圧迫されやすくなります。これにより、いびきが強くなることがあります。

喫煙

喫煙は喉の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。これにより、気道が狭くなり、いびきが悪化することがあります。

不規則な睡眠時間

睡眠の質や時間が乱れると、筋肉の弛緩が不規則になり、いびきが発生しやすくなります。規則正しい睡眠がいびき予防につながることがあります。

いびきは、さまざまな原因によって引き起こされますが、その原因を知ることで、予防や改善が可能です。生活習慣や体調に合わせた対策を講じることで、いびきの軽減が期待できます。 しかし、いびきが重度で、呼吸が止まっていたり、日中の眠気を認めるなど日常生活に支障をきたす場合は、専門医による診断が重要です。

1.2 睡眠時無呼吸症候群の特徴と症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止または浅くなり酸素状態が悪くなる状態を指します。重症度によっては、日常生活に深刻な影響を与えたり、命に関わる可能性があるため、早期に気づき、対処することが非常に重要です。ここでは、睡眠時無呼吸症候群の特徴や症状について詳しく説明します。

睡眠時無呼吸症候群の特徴

睡眠時無呼吸症候群は、以下の特徴を持つ状態です。

1. 呼吸の停止

睡眠中、10秒以上の呼吸停止が繰り返されることがあります。呼吸停止は、多くは気道(空気の通り道)が閉塞することで起こりますが、呼吸を調節する呼吸中枢の異常で起こることもあります

2. 無呼吸の回数が多い

通常、無呼吸の回数が1時間に5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。回数が増えると、一晩で体内の酸素レベルが何回も低下し、健康に悪影響を及ぼします。

3. 軽度から重度までの幅広い症状

症状は個人によって異なりますが、軽度のものから重度のものまで幅広く、放置すると心血管疾患や高血圧のリスクが高まります。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状

睡眠時無呼吸症候群の症状は、寝ている間に現れるものと、起きた後に感じるものがあります。以下の症状が現れた場合、SASの疑いがあります。

1. 大きないびき

いびきが大きく、途中で急に止まったり、うるさくなったりする場合、無呼吸の兆候かもしれません。いびきと無呼吸の繰り返しがあると、症状の一つと考えられます。

2. 寝ている間の息苦しさ

夜間に呼吸が止まることで、酸素不足を感じることがあり、息苦しさを感じることがあります。これにより、睡眠が浅くなり、朝の目覚めが悪くなります。

3. 日中の眠気

睡眠中に呼吸が停止するため、睡眠の質が低下し、昼間に強い眠気を感じることが多くなります。昼間に強い眠気を感じるのは、睡眠の質が低い証拠です。

4. 集中力の低下や記憶力の減退

睡眠中の酸素供給が不足すると、脳の働きにも影響を及ぼし、集中力や記憶力の低下を引き起こすことがあります。仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。

5. 朝起きたときの頭痛や喉の乾き

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に酸素が足りなくなることで頭痛を引き起こすことがあります。また、喉が乾燥し、朝に喉の痛みを感じることもあります。

睡眠時無呼吸症候群は、放置すると健康に大きな影響を与える可能性があります。いびきや昼間の眠気、夜間の息苦しさなど、少しでも気になる症状があれば、早期に専門医に相談することが大切です。 早期に対処することで、健康リスクを減らし、生活の質を向上させることができます。

2. いびきと睡眠時無呼吸症候群のさまざまな影響

2.1 日常生活における影響

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に発生する症状にとどまらず、日常生活にも深刻な影響を与えることがあります。これらの症状が原因で、仕事や家庭、さらには人間関係にも支障をきたすことがあります。ここでは、いびきや睡眠時無呼吸症候群が日常生活に与える影響について詳しく見ていきましょう。

睡眠不足による仕事や学業への影響

睡眠の質が低下すると、翌日の仕事や学業に集中できなくなることがあります。睡眠時無呼吸症候群やいびきが原因で睡眠が断続的になり、深い睡眠が取れなくなると、昼間に強い眠気を感じるようになります。これが仕事や学業に悪影響を及ぼし、以下のような問題が発生することがあります。

1. 集中力の低下

十分な睡眠が取れないと、頭がぼんやりし、集中力が続かなくなります。特に長時間の作業や重要な会議、勉強中などに集中できなくなり、効率が大幅に低下します。

2. 生産性の低下

仕事のパフォーマンスが低下し、思考や判断力が鈍くなるため、成果物の質が落ちることがあります。重要なタスクの完了が遅れたり、ミスが増えたりすることもあります。

3. 反応速度の遅延

特に運転や機械操作など、素早い判断と反応が求められる仕事では、睡眠不足による反応速度の遅延が危険を招くこともあります。これが事故やトラブルを引き起こす原因にもなり得ます。新幹線の運転士が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で約8分間にわたり居眠り運転をしていたというニュースをご覧になり、初めてこの病気を知った方もいらっしゃるかもしれません。

家庭内での人間関係への影響

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、家庭内での人間関係にも悪影響を与えることがあります。特に、寝室を共にしているパートナーにとって、いびきや夜間の呼吸停止は大きなストレスとなることがあります。

1. 睡眠の質悪化がコミュニケーションに影響

いびきがひどくなると、パートナーが寝不足になることが多くなります。これにより、お互いにイライラしたり、ストレスを感じたりすることがあります。睡眠不足が続くことで、家庭内でのコミュニケーションや気持ちのすれ違いが生じやすくなります。

2. 無呼吸による不安感

無呼吸が頻繁に起こる場合、パートナーがその症状に気づき、不安を感じることがあります。これがさらに関係に悪影響を与え、パートナーの心配や不満が増える原因にもなります。

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、日常生活にさまざまな影響を与える可能性があります。仕事や学業のパフォーマンス低下、家庭内での人間関係の悪化、健康リスクの増加など、放置すると問題が大きくなることがあります。 早期に症状に気づき、適切な治療を受けることが、生活の質を改善し、健康を守るために重要です。

2.2 健康に与える影響(心臓病、脳卒中など)

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる寝室の問題にとどまらず、長期的には健康に深刻な影響を与えることがあります。特に、睡眠中に繰り返し呼吸が停止することにより、体内の酸素供給が途絶え、心血管系や脳にさまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。ここでは、睡眠時無呼吸症候群が引き起こす可能性のある健康リスクについて詳しく解説します。

1. 心臓病と高血圧のリスク

睡眠時無呼吸症候群の最も重大な影響のひとつは、心臓病や高血圧のリスクが高まることです。無呼吸が繰り返されることで、酸素が十分に供給されなくなり、心臓に大きな負担をかけます。この状態が続くと、心血管系の疾患が発症しやすくなります。

高血圧

睡眠中に呼吸が止まると、体は酸素不足を補おうとし、血管が収縮して血圧が一時的に上昇します。これが繰り返されることで、高血圧が慢性化することがあります。高血圧は、心臓病や脳卒中の原因となるため、特に注意が必要です。

心筋梗塞や狭心症

無呼吸によって心臓への酸素供給が一時的に不足すると、心筋にダメージを与え、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患を引き起こすリスクが高まります。特に、無呼吸が重度の場合、心臓への負担が大きくなり、発症の確率が増加します。

心不全

長期間の無呼吸症状によって、心臓の働きが低下することがあります。この結果、心不全を引き起こすことがあり、心臓が血液を十分に送り出せなくなる状態になります。

2. 脳卒中のリスク

睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中のリスクも増加させることが知られています。睡眠中の呼吸停止が続くと、血中酸素濃度が低下し、脳に供給される酸素が不足することがあります。この酸素不足が脳卒中を引き起こす一因となります。

脳梗塞のリスク

睡眠時無呼吸症候群により高血圧が引き起こされると、血管に負担がかかり、脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。脳梗塞は、血流が途絶えたことによって脳の一部がダメージを受ける状態で、非常に危険な病気です。

脳出血のリスク

血圧が長期的に高い状態が続くと、血管が破裂することがあり、これが脳出血を引き起こす可能性があります。睡眠時無呼吸症候群によって血圧が高い状態が続くと、脳出血のリスクも増加します。

3. 糖尿病との関連

睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病のリスクを高める要因ともなります。無呼吸により酸素供給が断たれると、体のインスリン感受性が低下し、血糖値が上昇することがあります。これが繰り返されることで、2型糖尿病の発症リスクが増します。

インスリン抵抗性の増加

睡眠時無呼吸症候群が進行すると、インスリン抵抗性が高まり、体がインスリンを効果的に利用できなくなります。これにより、血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病が進行する可能性があります。

4. 認知症のリスク

睡眠時無呼吸症候群は、認知症のリスクを高めることもあります。睡眠中に繰り返し呼吸が停止すると、脳への酸素供給が不足し、脳細胞の働きが低下します。これが長期的に続くと、認知機能に悪影響を及ぼし、アルツハイマー型認知症などを引き起こすリスクが増加します。

記憶力の低下

睡眠中の酸素不足が脳に悪影響を及ぼし、記憶力や思考力の低下が見られることがあります。これが日常生活に支障をきたすこともあり、認知症の初期症状と見なされることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は、心臓病、脳卒中、糖尿病、認知症など、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。これらのリスクを避けるためにも、早期に症状に気づき、適切な治療を受けることが重要です。 健康を守るために、生活習慣の改善や治療法を積極的に取り入れることが大切です。

3. いびきや睡眠時無呼吸症候群の診断方法

3.1 自宅でできる簡単なチェック

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合、自宅でできる簡単なチェックで早期に症状を認識できます。以下のチェックポイントを試してみましょう。

いびきの頻度を確認

自分やパートナーに聞いてもらい、いびきが毎晩続いているか、音が大きいかを確認します。いびきが頻繁に発生している場合、無呼吸症候群の可能性があります。

呼吸が止まる兆候を探す

睡眠中に呼吸が止まったり、急に大きないびきが始まることがあれば、無呼吸症候群の兆候です。パートナーに注意してもらうことが有効です。

朝の目覚めの状態をチェック

目覚めたときに強い疲労感や頭痛、喉の乾きがある場合、睡眠の質が低下している可能性があります。これも無呼吸症候群に関連していることがあります。

日中の眠気や集中力低下

朝起きた後も眠気が残ったり、日中に強い眠気を感じたりする場合、睡眠の質が低下している証拠です。

いびき測定アプリ:いびきラボ

いびきの大きさや頻度を測定してくれるアプリです。いびきスコアというものも示してくれますが、無呼吸症候群との関連が示されているものではありません。大きないびきが認められている場合は、医療機関での検査がすすめられます。

これらのチェックで気になるところがある場合は、早めに専門医に相談し必要な検査を受けましょう。

3.2 クリニックでの検査方法(簡易検査、ポリソムノグラフ検査など)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断は、クリニックで行う検査によって確定されます。以下の検査方法が一般的に行われます。

問診

いびき、日中の眠気、睡眠中の呼吸停止など、症状について詳しくお伺いします。
また、生活習慣(飲酒、喫煙、睡眠時間、服薬状況など)家族にSASと診断された人がいないか、過去の病歴などについても確認します。

簡易検査(簡易アプノモニター検査)

呼吸、いびき、体位・体動、脈拍数、血液中の酸素飽和度などをモニタリングし、睡眠の状態を詳しく調べる検査です。検査キットを貸出し、ご自宅で一晩または二晩検査を行います。呼吸の状態や反応など様々な項目を確認しますが、特に「呼吸障害指数:RDI」という数値が診断に重要となります。

RDI(呼吸障害指数)

・検査中に認められた10秒以上の無呼吸や低呼吸の総回数を記録時間で割った数を「呼吸障害指数:RDI」と言います。

RDIによる重症度分類
5未満:正常
5〜15未満:軽度
15〜30未満:中等度
30以上:重症

・簡易検査では脳波をつけていないため、睡眠時間ではなく記録時間で無呼吸や低呼吸の総回数を割るため、実際の無呼吸の数値より軽く判定される傾向にあります。

・睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、この後ご説明する精密検査「PSG検査」が必要ですが、RDIが40以上の重症SASの方では、簡易検査のみで治療に移行する場合がございます。

・簡易検査は保険3割負担の方で2,700円となります。

精密検査:終夜睡眠ポリグラフ検査 (PSG検査)

脳波、呼吸、筋電図、いびき、体位・体動、脈拍、血液中の酸素飽和度などをモニタリングし、睡眠の状態を詳しく調べる検査です。入院で行う場合と在宅で行う場合があります。様々な項目を確認しますが、特に「無呼吸低呼吸指数:AHI」という数値が診断に重要となります。

AHI(無呼吸低呼吸指数)

・検査中に認められた10秒以上の無呼吸や低呼吸の総回数を睡眠時間で割った数をAHIと言います。

AHIによる重症度分類
5未満:正常
5〜15未満:軽度
15〜30未満:中等度
30以上:重症

・ PSG検査は保険3割負担の方で1,1250円となります。

これらの検査で得られたデータをもとに、医師が睡眠時無呼吸症候群の有無を判断し、適切な治療方法を提案します。

4. いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療法

4.1 生活習慣の改善

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防や改善には、生活習慣の見直しが非常に効果的です。原因解消に向け、以下の生活習慣改善が役立ちます。

体重管理

体重が増えると首回りに脂肪がつき、気道が狭くなりやすくなります。適度な運動とバランスの取れた食事を心がけ、体重を適正に保つことが重要です。

禁煙

喫煙は喉の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。これにより気道が狭くなり、いびきや無呼吸の原因となります。禁煙することで症状の改善が期待できます。

睡眠姿勢の改善

仰向けで寝ると舌や軟口蓋が喉を塞ぎやすくなり、いびきや無呼吸を引き起こすことがあります。横向きで寝ることで、気道が開きやすくなり、症状の改善が見込まれます。睡眠検査にて横向きの時にいびきや無呼吸が減少する方では、仰向け防止枕などが効果的なことがあります。

これらの生活習慣を見直すことで、いびきや無呼吸を予防・改善することができます。

4.2 耳鼻咽喉科の治療法

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療には、耳鼻咽喉科で行う治療法があります。以下の治療方法が一般的です。

鼻づまりの改善

鼻づまりがいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因となっている場合、鼻腔の通気を改善することで症状を軽減できます。以下の方法が一般的です。

薬物療法

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因の場合、抗ヒスタミン薬や点鼻薬を使用して鼻づまりを軽減します。これにより、鼻呼吸がしやすくなり、いびきや無呼吸が改善されることがあります。

手術

鼻中隔弯曲症や慢性副鼻腔炎が原因の場合、鼻中隔矯正術や内視鏡下副鼻腔手術を行うことで、鼻の通りを改善します。これにより、口呼吸が減り、気道が確保されやすくなります。

アデノイド・扁桃腺の除去

扁桃腺やアデノイドが肥大している場合、これが気道を塞ぐ原因となり、いびきや無呼吸を引き起こします。以下のような手術で気道を広げます。

アデノイド切除術

アデノイドが肥大している場合、特に子どもや若年層でいびきや無呼吸の原因となることがあります。アデノイド切除術により、鼻咽腔の気道が確保され、症状が改善します。

口蓋扁桃摘出術

扁桃腺が大きい場合、気道を圧迫していびきや無呼吸を引き起こします。口蓋扁桃摘出術を行うことで、気道を広げ、呼吸をスムーズにします。

のどの手術(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)

喉の形状や口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合、気道が狭くなり、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)では、軟口蓋や口蓋垂の一部を切除し、気道を広げます。この手術により、呼吸がスムーズになり、症状の改善が期待できます。

舌下神経刺激療法

舌下神経刺激療法は、最新の治療法の一つで、胸の皮膚の下に埋め込んだデバイスが舌を動かす神経を刺激し、睡眠中に舌根が気道を塞ぐのを防ぎます。この治療により、気道が確保され、呼吸がスムーズになります。日本では限られた施設でのみ行われており、専門医による評価が必要です。

これらの耳鼻咽喉科での治療法により、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を効果的に改善できます。症状の原因や重症度に応じて、適切な治療法を専門医と相談して選びましょう。

4.3 医療機器による治療法(マウスピース治療、CPAP療法)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療には、医療機器を用いた治療が効果的です。以下の治療法が一般的に使用されています。

マウスピース療法

マウスピース療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群やいびきに効果的な治療法です。口に装着する装置で下顎を前方に保ち、舌の位置を安定させることで気道を広げます。

マウスピースの効果と適応

睡眠検査でAHI(無呼吸低呼吸指数)が5以上の場合、保険診療で一体型のマウスピースを作成できます。費用は通常2〜3万円程度です。上下分離型の装着感の良いマウスピースは自費診療となり、費用は15〜18万円程度です。いびきや無呼吸の軽減に効果的で、持ち運びも簡単です。

マウスピースの注意点

マウスピースは歯科医師や専門医によるオーダーメイドが必要です。装着時の違和感や顎の痛みを感じる場合があるため、定期的な調整が重要です。

CPAP療法

CPAP(持続的陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法で、安全かつ効果的です。睡眠中にマスクを通じて気道に圧力をかけ、気道の閉塞を防ぎます。

CPAPの効果と適応

簡易検査でAHI(またはRDI、REI)が40以上、精密検査でAHIが20以上で症状がある場合、保険診療の適応となります。費用は機器レンタル料や診察代を含めて月額約5,000円です。睡眠の質の向上や心血管疾患のリスク軽減に効果的です。

CPAPの使用方法

CPAP装置は自宅で使用し、マスクのフィット感や圧力設定を適切に行う必要があります。最初は慣れない場合もありますが、継続することで効果を実感できます。

これらの医療機器による治療法は、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善し、睡眠の質を高め、健康リスクを軽減します。専門医と相談し、自分に合った治療法を選びましょう。

5. 予防と習慣化の重要性

5.1 生活習慣の見直し

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防には、生活習慣の見直しが重要です。以下の改善策を取り入れることで、症状の予防や軽減が期待できます。

規則正しい睡眠時間

毎日同じ時間に就寝し、起床することで体内時計が整い、深い睡眠を得やすくなります。これにより、睡眠の質が向上し、無呼吸のリスクが減少します。

適度な運動

定期的な運動は肥満を予防し、呼吸器系を強化します。特に有酸素運動(軽いジョギングやウォーキングなど)は、睡眠中の呼吸を安定させる効果があります。週に数回の運動を取り入れましょう。

アルコールを控える

寝る前のアルコール摂取は、筋肉の過度な弛緩を引き起こし、気道が狭くなる原因となります。いびきや無呼吸を防ぐため、就寝前の飲酒は控えましょう。

これらの生活習慣の見直しは、いびきや睡眠時無呼吸症候群の予防に効果的です。日常生活に取り入れることで、健康的な睡眠をサポートできます。

5.2 定期的な検診を受ける重要性

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な検診を受けることで、以下の利点があります。

早期発見による健康リスクの軽減

SASが進行すると、心血管疾患や脳卒中のリスクが高まります。定期的な検診により、早期に問題を発見し、重大な健康リスクを防ぐことができます。

日中の眠気や集中力低下の改善

適切な治療により睡眠の質が向上し、日中の眠気や集中力低下が改善されます。これにより、仕事や家事のパフォーマンスが向上します。

治療の効果判定と調整

CPAPやマウスピース治療を開始した後も、定期的な検診で治療効果を評価し、必要に応じて調整を行います。これにより、最適な治療を継続できます。

定期的な検診は、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を効果的に管理し、健康を維持するために不可欠です。気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。

6. まとめ

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放置せず早期に対処することが重要です。以下の点を心がけ、健康な生活を目指しましょう。

症状を早期に認識する

頻繁ないびきや日中の強い眠気は、睡眠時無呼吸症候群の兆候かもしれません。症状に気づいたら、早めに専門医に相談することが大切です。

定期的なチェックを受ける

定期的な検診により、睡眠時無呼吸症候群を早期に診断できます。いびきがひどい、睡眠の質が低下していると感じる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

生活習慣の改善を心がける

適切な体重管理、禁煙、睡眠環境の改善など、生活習慣の見直しは予防に効果的です。健康を守るため、日常生活で予防を意識しましょう。

早期に対処することで、いびきや睡眠時無呼吸症候群による健康リスクを減らし、快適な生活を送ることができます。

いびきや睡眠時無呼吸症候群なら、仲宿つくも耳鼻咽喉科にお任せください

当院では耳鼻咽喉科と矯正歯科が連携し、専門的な検査と治療で皆さまの睡眠の質を改善し、健康を守るサポートをいたします。気になる症状がある方は、ぜひご相談ください。

 

記事執筆者Writer

仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科
院長 渡邉 格

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
日本気管食道科学会 専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
日本嚥下医学会 嚥下相談医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医